穴。

公開日: : ブログ, 社会問題

僕はどうやら護憲派とか憲法改正反対派と思われているみたいだ。まぁこのブログを読む限りはそういう人もいるだろうな。

だけど言いたいのは、とにかく「議論が足りない」ってことと、「現在の草案は穴だらけ」ってこと。逆に言うなら、議論が尽くされて穴がなくなれば改憲賛成もやぶさかでない、ってことだ。

憲法改正の議論(特に9条)ていうのは、突き詰めていくと「最低限の軍備」をどう認識するか、ってところだ。その基準を誰が決めるのか?

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抑止力として機能させるためには、適当では絶対にダメだしなんにせよ兵力が必要だ。もちろん戦闘機やミサイル・戦車なども大量に購入(もちろん税金で)しなきゃいかん。それ以上に兵力が必要だけど、徴兵制なしでどれだけ志願兵が集まるのか甚だ疑問だ。もっとも、自民党の憲法草案では以下のようになっている。

第9条の3(領土等の保全等)
 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。

「国民と協力して」・・・まぁ徴兵制への布石を打っているように見えなくもないし、実際有事の際を考えると「そういう意味」になる。たとえばこの「国民」ってトコを「登録済みの予備役」とするのならまだいいかもしれない。

金欲しさの日本人なら、破格の待遇を用意すればそれなりに増えるかも知れない。だがそれだけで他国が「脅威」と感じてくれるほどの兵士が集まるとはとても思えないが、例えば年棒で言うと、現在の定年間際の年収は600万~650万らしいので、これは軽く1,000万を超えるようでないと志願者は増えないだろう。今までと違って、米軍の窮地に加勢しに行くのだから命の危険は増えるわけだし、まぁ1,000万でも少ないかもしれない。米軍だと中佐以上なら軽く超えるみたいだけど。

いずれにしても、その待遇も「税金」から出すわけなので、まぁ消費税15~20%程度じゃ足りない。新たな課税が必要だ。

つまり「志願」だけでは絶対に無理がある。現在の自衛隊は約25万人。例えば中国と比べるとわずか1割だ。少なくとも100万人はいないと「抑止力」にはなりえないと思うがどうだろうか?

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そもそも、現状でも実は結構な軍事大国なんだけど、とにかく集団的自衛権を認めさせたい理由は大きく分けて2つだ。

ひとつはプライドの問題。

※ジョン・トーマス・シーファー在日本アメリカ合衆国大使「ミサイル防衛で、米国へ向け発射された敵の弾道ミサイルを日本が迎撃できないというなら米国民は同盟の価値を感じなくなる」
※サッチャー英元首相「日本は安全保障を確保するために積極的に国際的な役割を果たそうとしないことについて、いつも欧米諸国の政府の物笑いの種になっていた。」
※ジェームズ・シン前国防次官補「日米の統合された継ぎ目のないミサイル防衛を確立するには日本の集団的自衛権に対する自己規制が最大の問題点だ」
※ウォルフォウィツツ元国防副長官「日本がもっと指導的役割、世界での責任感を示すよう、米国からの何らかの要求を単に待ち、渋々要求に屈することがないよう期待する」
※ジョセフ・ナイ元国防次官補・ハーバード大学学長「民主党が安保政策でインド洋での給油活動をやめ、日米地位協定などの見直しに動いたら反米と受け止める」

などと揶揄されている日本において、この状態を脱却したいってこと。

もうひとつは、防衛出動命令が出されたとき(自衛隊法76条1項)以外は、武力を行使することができない状態を変えたいってとこ。これを議会を経なくても総理の承認でイケちゃうようにしたいわけですね。そうするとたとえば領海を侵犯した外国の軍艦や潜水艦に対して、場合によっては撃沈することもできるようになる、ってこと。

で、そのために用意された草案が問題だらけ。たとえば9条の2第3項では、

国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。

となっていて、これは「表現規制等の治安維持活動を国防軍が行う」ことになる。つまりデモとかは強制的に排除できるわけで、場合によっては雑誌やブログ、普段の会話すらも国防軍によって取り締まられることになりかねない。

つまり僕みたいなブロガーは即排除ってことになる。高市早苗総務相の電波停止発言も「そういうことか」となってしまう。9条の2第3項に関しては、代替案というより「不要」としか思えない。必要性がまったくわからない。

飛躍しすぎだろ、という人がいるかも知れないが、そもそも他国が侵略戦争をしかけてくる、という想定自体飛躍しているわけで、現代の先進国が侵略を受けることなどがあるはずはないのだ。もっと言えば、自衛隊自体が飛躍した解釈で成立しているのだし、だったら憲法改正などしなくても集団的自衛権を行使して、それも解釈ありきでやればいいだけだ。

たしかに漁船追突などはあるけども、それならそれでそれなりの草案が可能だ。この機に乗じていろんなことを変えちゃおうってのが解せない。

こういう議論を喧々諤々とやって欲しいのだけど、今回の参院選のように、議論しなくても与党がどんどん進めていける環境が整っていくと、穴だらけのまま改正されていく。

問題は、「実はそれが狙い」ではないか、ということ。「穴」のように見えて、実はそれ以外の様々な事についても権力者の優位に事が運べることを見越して作られている可能性があるということ。

だからもっと時間をかけて、もっと多くの人が研究をしてシミュレーションすることが必要なのだ。そのためには野党が一定の力を持つ必要があったのだ。

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