都城市が自滅に向かっているいくつかの理由。

　つっこみどころ満載の都城市平成26年度当初予算案なんですが、ボク的に興味を惹くのが特色のある主な事業の中でも早水公園整備事業です。現在ある早水公園体育文化センターに併設する形でサブアリーナと武道場、弓道場や駐車場も新設することになっています。

　平成26年度～29年度にかけて、総事業費32.6億円という大きな事業で、今年は用地取得と敷地造成工事及び水路の付替工事、文化財発掘調査が行われることになっていて約2.7億円を計上しています。これは「都城市スポーツ施設整備ビジョン（平成１８年度策定）」に基づいているわけですが、当時の提出された意見等及びそれに対する市の考え方を見ると、「スポーツの拠点作り」があくまで優先されていて、都市機能復活という考え方は後回し(ヘタすると考慮そのものがなかった)にされています。これではせっかく「理想のスポーツ拠点」を整備されても、都市そのものが衰退し、大きな大会や国際大会すら開催されなくなるので意味を失うな、と思うわけです。またこの資料で頻繁に出てくるのが交通渋滞回避だとかアクセスの具合という言葉で、都城志布志道路の恩恵が考慮されてないフシがあります。

　また、この資料では「山之口運動公園」に移転するビジョンもあったようですが、駐車場の狭さや中心部からの距離、競技団体との調整のしづらさを理由に却下されていて、高城運動公園整備計画や山之口SAスマートICとの連携も考慮されていないようで、なんともおそまつです。

　いい換えれば、都市機能再生の大チャンスをみすみす逃していると言わざるを得ません。消費活動拠点が分散してしまった今、中心部に集中させるべき文化体育施設さえも分散させてしまっては、もう生き残る道は閉ざされたといってもけして言いすぎでないという気がします。

　予算案といっても、すでに昨年設計業務委託の入札は済んでおり、予算通過前提の話になっていますので、いまさらどうにもならない段階ということでしょうし、これだけの大事業ですから建設事業者や関係者のフトコロにも大きくかかわるので、市街地の活性化などは「関係ない」のだろうな、とも思ってしまいます。どうも長期的なビジョンの策定に大きな欠陥があって、優先順位が完全にマヒしている気がします。

　また、弓道場の新設は「弓の町」に起因したものなんでしょうが、これもハードありき、優先すべきはソフト面であると思うのです。現在の弓道における競技人口は全国で約12万人で都道府県別競技人口を見ると、全国16位でけして高いとは言えず、世代別に見ると中学生が4位、高校になると23位、大学生にいたっては最下位一歩手前の46位、一般が16位となっていて、行政の推進力の無さを物語っています。

　実は高校弓道は、少子化のなかにあっても競技者数は6万人以上おり、剣道競技者を上回って武道では最も競技者が多いらしいのです。普及の地域差は大きく、愛知県では半数の高校に弓道部があるのに対して東京・大阪では10％前後なので、せめて現在の23位を10位以内に持っていければ、実質的に「弓の町」を名乗れるのかな、と思います。しかし並大抵のことではないでしょう。

　いずれにしても都市機能再生を置き去りにして、現時点では意味の薄いスポーツ拠点作りに、国民の血と汗と涙の税金をそそぐのは愚の骨頂と言わざるを得ない気がします。

　そもそも、今から8年も前に策定されたビジョンが、さまざまな状況の変化があったにも関わらずたいした修正も無く進行してしまう最大の理由は、市民の行政まかせの体質にほかならないな、と思うわけです。権力者や有力者が得をする施策を、難なく通過させてしまう都城市民。まずは政治参加から始めるべきかな、と思います。と言っても政治家になるのではなく、議会の傍聴をひとつのイベントとして認識し、興味を持って触れていくことが必要な気がします。

　議会の日曜日開催・夜間開催や、市民参加者の税制優遇などで「市民の近くにある議会」にするということから始めてはどうかと、思うわけです。